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立教生ができる支援とは?立教生ができる支援をやろう!私たちができることを考え実行するプロジェクトとして、立教大学社会学部が立ち上げた「RDY(立教生ができることをやろう)支援プロジェクト」のブログ
再発見したボランティアの形
社会学部社会学科2年
岩谷菜央

 今回の3月の唐桑ツアーは、それまでのツアーとは少し異なっていた。今までは、唐桑ツアーの目的は被災地に行くのにためらっている人などを東北へ連れていく、という目的があった。「震災から時間が経ってしまって行きづらい」や、「一人で被災地へ行くのは怖い」などと思っている人へのきっかけ作りを提供するために唐桑ツアーを行ってきたのだ。3月のツアーはその目的に加え、新しい目的が一つ加わった。それは、「現地のニーズを知る」ということだ。震災から5年が経った。そして、唐桑ツアーを何回も開催し、現地の人たちとの関係もできてきた。だからこそ、今わたしたちに何ができるのか知りたかった。今まで通りただ初めて東北に来る人を連れていく活動では何か足りないのではないか、とても思っていた。唐桑ツアーは初めて東北に行く人に加え、何度も唐桑や陸前高田へ訪れた人も多く参加している。何度も東北へ行ったことのある人が、毎回会うなじみの人に会い、話をして帰るという活動だけで良いんだろうか、とも思った。何度もfrontiers内で話し合い、いっそまちづくりや、コミュニティ再建などに活動をシフトしても良いのではないか、という意見も出た。自分たちの活動に自信が持てず、「ただ現地の人に会いに行くだけ」という活動を変えなくては、という思いを持って私は唐桑に行ったのだった。
 だが、唐桑に着いて一日目からまず失敗だった。唐桑ツアーの中で会うのは初めてである、唐桑の喫茶店のマスターの藤原さんにお話を聞いた。そこで「大学生が今できることって何でしょう?」と聞いたのだが、「楽しいと思うことをすればいいんじゃないの」という答えが返ってきた。これまでの唐桑ツアーでも、私が地元の人に同じような質問をしたとき、「唐桑に来るだけでいい」という答えが返ってきた。この「来るだけでいい」というのが私にはよく分からなかった。ただ会いに行き、自分たちが楽しいだけでは駄目なのでは、と思ったのだ。藤原さんは、「自分たちが楽しければきっと相手も楽しいはず。それで良い」と言ってくれた。だが、何か明確な答えを求めていた私は、「聞き方が悪かったな。失敗したな。」と思ってしまった。
 私の考えが変わったのは一日目の夜だ。夜は学生4人の少人数で、馬場国昭さんの元を訪れた。馬場さんは私たちがいつもお世話になっている方だ。去年は立教大学に馬場さんを呼び、講演会を開いた。講演会の後は一緒に東京散策をするなど、深い関係を築けた方である。その馬場さんにも私は、「これからボランティアってどういうことをしたら良いんでしょう」と聞いた。そのときは、正直私はこの質問をしたくないと思っていた。親しくなった馬場さんと、最近ではボランティアについて話したことはなく、もっと他の話をしたいと思っていた。馬場さんの答えは、「外面的なワークと内面的なワークの話したろ。今は内面的なワークの時間なんだ」だった。この外面的なワークとは、目に見えるがれき撤去など初期のボランティア活動だ。一方内面的なワークとは、震災から時間が経ったのちの、心のケアのようなものを指す。馬場さんの二つのワークの話は私が初めて馬場さんと会ったときにも聞いていた。内面的なワークって一体どんな活動を指すのか、私には分からなかった。また、私たちに内面的なワークができるとも思えなかった。しかし、馬場さんはそのあとに、今私たちが何度も自分の元に来てくれることを嬉しく思うこと、絆がわたしたちとの間にあることを伝えてくれた。そのときに私は、初めて内面的なワークが、「唐桑ツアー」にも当てはまるのではないか、と思った。
 私は、正直自分の「楽しい」気持ちは無視していた。ただ地元の人に会って話をするのが楽しいから東北に行くだけでは、理由にならないと思っていた。だが、藤原さんの話や、馬場さんの話を聞いて、考え方が変わった。楽しいと思って地元の人に会いに行くことが、知らないうちに馬場さんとのように関係性を築けていたりする。何もしていないように思った唐桑ツアーも、わたしたちと地元の人との間の関係に、ちょっとでも影響を及ぼしている、ということが分かったのだ。
 そして人と会うのが楽しい、と思い出したきっかけの一つは、泊まっている宿「つなかん」での出来事であった。「つなかん」では東北に来たよそからの人間が多く泊まっている。普段なら話すことも無いような大人や、他の学生と「つなかん」では気軽に話すことが出来る。「つなかん」は出会いの場なのだ。そこで、愛媛から毎年来るというおじさんに出会った。その人と深夜三時になるまで話したことで、「そういえばつなかんってこういう場だった」と思い出した。全く知らない人と、いち学生が対等に「つなかん」では自由に話すことが出来る。それが面白かった。
 そして、最終日の三日目は唐桑で昔まちおこしの活動をしていたことがある佐藤さんと、鈴木さんという方にお話を聞いた。今回の唐桑ツアー三日間で思ったことを話すと、「それで良いんだよ」という言葉にとても自信が付いた。
今までは今の唐桑ツアーの形では、駄目なのだと思っていた。それが、色んな方の話を聞いて、「唐桑ツアー」にも価値があるんだ、と改めて認識することができた。私が初めて唐桑に行ったのはちょうど一年前だ。一年間唐桑に何回か通ってみて、よく会う方には顔をちゃんと覚えてもらっていた。唐桑に行くと、地元の方の顔が会った時にぱっと輝くのが私は好きだ。「また来てくれたんだ!」ということが伝わるからだ。唐桑ツアーにも価値があるんだ、と思うまでにはこの一年間で紆余曲折があった。ただ現地の人に会いに行くだけで良いのか、と悩み、結局のところ「それでもいいんだ」と分かったのが今回の唐桑ツアーだった。私は馬場さんのように、何度も会って知らないうちに関係を深めていたような人を今後のツアーで増やしていきたい。そして、今まで会った人に会うのと同時に、今まで会ったことのない人にも会っていく活動をしていきたいと思った。唐桑ツアーを変えようと思って行った3月ツアーは、結果唐桑ツアーの良さを再確認することができたツアーであった。今後も、唐桑ツアーを続けていきたいと強く思った。

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【2016/04/19 15:44】 | 活動報告
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